「ははっ。晴れた顔しちゃって。残念だなぁ。もうちょっと時間あれば俺のこと好きにさせたのに。」
その顔は、切なく笑っていた。
空緒くんは、大きく深呼吸したあと、
「ほら、そこ曲がったらセンパイの家でしょ。早くしないとセンパイに俺といるところ見られちゃうよ。」
いつもみたいに私の背中をおしてくれるんだ。
「うん。頑張ってくる。」
今までたくさん逃げてきた。
だからこそ、空緒くんのその気持ちを無駄にしちゃいけない。
……逃げちゃいけない。
覚悟を決めた私は、一人で先輩の家に向かった。
「…はぁ〜〜〜…。…好きだったなぁ。」