「ただいまー。」
部屋は締め切っていたからだろうか。もわっとした空気でいっぱいだった。
私は部屋に入り、リビングのソファーに寝転がる。ふと思った。そういえば、紫音が最後の彼氏だった。あれから私は、もう悲しい思いをしないよう、交際を控えていた。
昔から人が死んでも何も思わなかった。
両親は、私が高校生の時に交通事故で亡くなった。私は涙を流すことは無かった。
こんな私なのに。紫音が亡くなったときは、1人暗闇に落とされたように悲しかった。辛かった。
涙が初めて出た。気がした。
本当の悲しみってなんだろう。大事な人が死んだから涙が出るのか、大事な人が死んだから悲しいのか。

教えてよ。誰か…

本当の意味を。