クリスマスは特別な分、時間が過ぎるのが早い。
閉館した遊園地を後に「バイバイ」と互いに手を振る。一生懸命こちらに手を振る彼が愛おしい。
明日になれば、またあの愛おしい彼に会える。毎日が楽しく、嬉しかった。
そして、この後に起きた出来事も一瞬だった。

1。2。3。


―キキーッガガガッ―



なにが起きたか分からない。気づいたら私は市の病院にいた。前には紫音が綺麗な横顔を見せて寝ていた。横には目を赤く腫らした紫音のお母さんがいた。どうやら紫音のお母さんが放心状態の私を連れて来てくれていたみたいだ。
目が合うと紫音のお母さんは、「紫音が…死ん…じゃっ…た…。男女の…乗っていた…バイクに跳ねられ…て…即死……だって…。」と言った。私は感情の整理がつかず、ただ単に声を上げて泣きわめくことしかできなかった。