思わず、また固まってしまうわたし。

すっとこちらに、刹くんが手を伸ばした。



「せ……」

「──うん、似合う」



蝶々の髪留めを、わたしの左耳の上にあてて。

刹くんは、ふわりとやわらかく微笑んだ。



「……ッ、」



その、添えられた手の近さと、初めて見る彼の表情に、かーっと頬が熱くなる。

それを気づかれたくなくて、わたしはパッと、体ごと刹くんから背けた。



「あっ、あれ、プレゼントにいいかも」



わざとらしい、そんな言葉をつぶやく。

胸のドキドキをおさえるために、無心で、しおちゃんへの誕生日プレゼントを選ぶ“ポーズ”を続けた。

こちらを見つめる刹くんの眼差しには、気づかないフリをして。