刹くんは背が高い。きっと180㎝近くあるんじゃないかな。

たぶん染めてる、アッシュ系の色の髪はアシンメトリーになっていて、彼の勝ち気そうな顔立ちによく似合ってる。

それに、スポーツがなんでもできて──。


と、そこであることを思いついたわたしは、適度な距離は保ちつつ、自分から刹くんのそばへと近づいた。



「ね、ねぇ、刹くん」

「んー?」



まわりに綺麗な柄の千代紙が貼ってある小さな万華鏡を、くるくると回して覗きながら彼は言葉を返す。



「刹くんって、いろんなところの部活見学したんだよね?」

「んー」

「それって、あの……サッカー部にも、見に行った?」



ちょっとドキドキしながら言った質問に、刹くんはあっさり「行ってないよ」と返した。



「へ……」

「だってうちの高校って、サッカーの名門だろ? さすがに俺みたいな付け焼き刃じゃ、ついていけねぇよ」

「そう、なんだ」



もし、サッカー部の見学に行ってたなら……部長である奏佑先輩の姿、絶対見てると思ったんだけどな。

そしたら部活中の先輩のお話、聞けるかもなんて……浅はかだよね、それは。