「あ、これかわいいっ」

「………」

「あっ、こっちのもかわいい」

「……ほんと女って、こういうの好きだよな」



このお店に入ってからほとんど『かわいい』しか発していないわたしに対し、刹くんは若干呆れたようにつぶやいた。

この雑貨屋さんは大きさ自体はこじんまりとしているけれど、置いてある雑貨の種類は豊富で、特にアンティーク調のものが多い。

まさにわたしの『かわいい』ど真ん中なお店だ。


ウキウキとしおちゃんのプレゼントに良さげなものを探しつつ、自分の目の保養にいそしむ。

するとわたしの耳に、すぐそばにいた女の子たちのヒソヒソ話が飛び込んできた。



「ねぇ、あの男の子、かっこよくない?」

「わ、ほんとだ。雑誌とかに載ってそう」



つられて思わず視線をたどってみる、と。

多少面倒くさそうな顔をした刹くんが、アンティーク調なオルゴールの蓋をパカパカしているところだった。

わたしの視線に気づいたらしい彼が、こちらへ近づいてくる。



「花音、いいの見つかった?」

「あ、ううん、まだ」



言いながらちらりと先ほどの女の子たちを見てみると、「ほらぁ、やっぱ彼女いたよー」なんて言いながらそそくさと離れていくところで。


えっと……彼女では、ないんだけどな。

そうは思っても口に出すことはなく。

今度はバレないように、1mほど離れた場所に立つ彼をちょっとじっくり観察する。