「ガトーショコラ……いや、今日暑いしフルーツパフェも捨てがたいな……」

「……刹くん、甘いもの好きなの?」



あまりにも真剣なその様子に、思わずそう訊ねた。

すると彼は顔をこちらに向けて、こっくり力強くうなずく。



「当たり前だろ。甘いものは正義だ、正義」

「………」



その予想外の言葉に、一瞬、固まってしまうけれど。

わたしは堪えきれなくなって、とうとう、吹き出してしまった。



「ふ、あはははっ! 刹くん何それ、ヘンなの~」



いや、わたしも甘いものは大好きだから、わかるといえばわかるんだけど。

でもそんな、まさか男の子が、……しかも刹くんが、あんな大真面目にそんなこと言うと思ってなかったから。

つい、くすくす笑いが止められない。



「ふふ、あははっ」

「──笑った」

「ふ……え?」



向かい側から聞こえた声に、つい、笑いを止めてそちらを見る。

なぜだか刹くんが、とてもうれしそうなカオで微笑んでいた。