抱えきれない感情が、いつしか左手を伝う赤に変わった。

堪えきれない涙が、いつしか左手に広がる熱さに変わった。

眠れない朝は睡眠薬を噛み砕いて、日の落ちた夜中は作り物の愛想を振りまいて。

帰り着く部屋の中はいつも冷たくて。

何も変わらない、ただ生かされてるだけの世界で君に出会って。

君の心に触れた指先から少しずつ凍りついた感情が溶けていくように。

泣くことも笑うことも怒ることも。

嫉妬も照れも憧れも。

私が満たされていった。



私の中で君が1番であるように、君の中で私が1番であればいいなと今日もまた、この子の笑顔と君と私の小さなお城を見るたびに思うんだ。
明日もまた、あなたの寝顔を見つめて朝を喜ぶ事ができるように。