「もちろん。結城さんにはいろいろ感謝しなきゃね」

 家にこもりがちだった母に中高年向けの社会人サークルを紹介してくれたのは結城社長だ。

 母が庭いじりを好んでいることを知ると、同じ趣味の人たちが集まっているこの地域の園芸サークルを見つけ出し、わざわざ下見をして雰囲気まで調べてくれた。

 そのサークルで出会った男性と、母は去年から交際している。

「沙良はちゃんとお仕事しているんでしょうね? あんないい社長さんの足を引っ張ったら、母さん承知しないわよ」

「平気。……たぶん」

 相変わらず家事をしに来てもらっているけれど、それは入社当初からのデフォルトだし、と思っていると、母が薄い眉を下げた。