すると、
「夏海!!」
という声が聞こえてきた。
見るとこうちゃんがこっちに向かって来ていた。
「こうちゃん!!」
こうちゃんの姿が見えて一安心した。
私はこうちゃんが伸ばしてきた手を握った。
「早く戻るぞ!!」
「でもね、泳いでも泳いでも戻れないの!!」
「は!?そんなわけないだろ!!」
こうちゃんも一生懸命泳ぐが、距離が縮まることはなかった。
「何で…」
ハァハァと息が乱れていた。
こうちゃんが来てくれて安心してたけど、こうちゃんがいても戻れないとなると本当にダメかもしれない。
私ももう限界だったんだと思う。