「取ってくる!」 そう言って私はボールを追いかけた。 つるつるしているボールに苦戦しながらも、なんとかボールをつかむ。 そして戻ろうとした時だった。 「……え?」 思っていたよりも遠くに来てしまっていた。 急いで戻ろうと泳ぎ始めるが、いっこうに距離は縮まらない。 むしろ離れていっていた。 とうとう疲れてしまって溺れかける。 このまま死ぬかもしれないという恐怖で、完全にパニックになってしまった。