それからというものの、お互いあの海には近寄らなくなった。


夏輝は体育のプールの授業にはいつも通り参加しているけど、私は水自体がダメになってしまったから見学するようになった。


いつも危険と隣り合わせだと知った今、水に入る気が起こらなかった。


でも、唯一近寄る日がある。


それはもちろん、こうちゃんが亡くなった日だ。


夏輝と2人で花を手向ける。



「こうちゃん…ごめんね…。」



「バカ、ありがとうだろ。命懸けて夏海を守ったんだから。あと滉晴だって言ってただろ、『謝られるより、お礼を言われた方がいい』って。」



「そっか……守ってくれてありがとう、こうちゃん。」