結局バスが来たのは6時24分だった。
おかげで6時30分に現地集合だったのに間に合いそうにない。
僕は乗車券を取ると1番奥の5人くらいが座れる広い所に腰掛けた。
美嘉はゆっくりと入ってきてバスカードを差し込み、僕より一つ前の2人しか座れない席に腰掛けた。
バスの中には運転手を入れて3人しかいない。
もちろん運転手は喋らないから車内には沈黙しか流れない。
その沈黙を破るのは毎回流れるアナウンス。
「次は〜赤下〜」
あ、あと10分くらいで着く距離になった。
外の景色はかなり綺麗だ。
夏だから夕暮れも遅い。
今は調度、太陽が沈みかける所だった。
「綺麗だなぁ…」
と声を漏らすと
「だね」
小さい返事が返ってきた。