ピピッピピッピピッ…
朝から騒がしい目覚ましを手探りで止めると、ゆっくり瞼を持ち上げる。
朝日が眩しくて、思わず目を細めた。
「朝だ…起きなきゃ…」
ほぼ強引に身体を起こしてベッドから出た。
部屋を出て階段を降りれば双子の妹、夜々がご飯を作ってくれてる。
「結々ちゃんおはよう」
「おはよ、夜々」
こんがりと綺麗な焼き目がついた食パン。
綺麗な形の目玉焼き。
私は卵かけご飯しか作れないのに、食卓には夜々が作った美味しそうな朝御飯が並んでいる。
…あれ、双子だよね?私達。
私がそんなことを考えている間に、ちょーハイスペック少女、夜々はてきぱきと朝御飯の支度を続ける。
「結々ちゃん、歌起こしてきてくれない?朝練あるって行ってたから早めに起こさなきゃ」
「はーい」
そう返事をして歌の部屋へ向かう。
歌っていうのは私の弟。
朝起きるのは苦手なやつだから、起こすの時間かかる気がする…
麻木結々。高校一年生。
ただ“ちょっと”妄想好きな、ごくごく普通の高校生。
夜々には『ちょっとどころじゃないでしょ』って言われるけど、私からしたらちょっとなんだもん。仕方ないよね。
背中まで伸ばしたお母さん譲りの栗色の癖っ毛が跳ねた。
夜々は2つにくくってるけど、私はめんどくさいからおろしたまま学校に行ってる。
女子力低いって言われるから、良い子は真似しないように!
夜々は私の双子の妹。
髪の長さから何までほとんど一緒だから、喋らなければ見分けはほとんどつかないってよく言われる。
喋らなければ…ってのは、性格は正反対だから、喋ったらすぐばれるってこと。
あと違うのは…髪型とほくろの位置くらい…?
まぁ、仲が良いことは確か。
「うーたー!起きてー!朝練あるんでしょ!」
歌の部屋のドアをバンバン叩いて叫ぶ。
ちなみに私だったらこうやって起こされるの絶対嫌。
「うぅ…結々姉、起きたから…それ以上騒ぐのやめて、うるさい…」
そう言いながら顔を出したのは弟の歌。中学二年生。
名前は女子っぽいけど、正真正銘男子です。
「おはよー歌。朝御飯できてるよ。私作ってないけど」
「いつものことでしょ。結々姉がご飯なんて作れるわけない…」
寝起きのテンションで歌は寝癖がたくさんついた自分の黒髪をわしゃわしゃかきむしる。
失礼ですね、私だって料理できるし!
…卵かけご飯なら!