「私のこと猫って書いたの佐々?」



私が聞くと、



「そうだけど何...?」



と、少しふてくされながら佐々 圭太[ササケイタ]は答えた。



どうもしないけど、やっぱり猫って...!!私絶対猫っぽくない!!



そんなくだらないことを考えている内に、帰る時間になった。






号令が終わり、教室を出ようとした時声を掛けられた。



「美沙!今年はクラス同じだね!!一年間よろしく!」



よろしく〜!と私が応えると、岡崎 桃子[オカザキモモコ]は笑顔になった。



桃子とは同じバレー部に所属しており、普段からよく話す友達の一人だ。



桃子と話し終え、教室を出た時に去年同じクラスだった津川 夏乃[ツガワナツノ]と会った。



「美沙...!!美沙は1組だったの?夏乃は2組だったよ!!」



おぉ、隣のクラス...!!夏乃は面白いし話しやすくて好きだ。隣同士のクラスで良かった。



「夏乃は2組だったんだね〜!!隣同士になれて嬉しいっ笑」



「夏乃も夏乃も!!あっ、せっかくだから一緒に帰ろうよ!」



「おっ、いいね!帰ろ帰ろ〜」



くつ箱に向かう途中、クラスのことを沢山話した。



くつ箱に到着し、上履きを履き替え、玄関を出ると、春特有の暖かな風が吹いていた。



もう春なんだなぁ...。と改めて実感した。



家までの帰り道、夏乃と他愛もない話で盛り上がった。



家に帰ると、疲れがどっと押し寄せてきた。



制服をハンガーに掛けながら、明日からの事を考えた。



あのクラスでやっていけるのだろうか。友達は出来るのだろうか...。



不安な事ばかり頭をよぎったが、すぐに止めた。



「こんなうじうじ考えてても仕方ないよねっ!!明日から頑張ろ!!!!」



言葉にしたら、なんだか本当に頑張れる気がしてきた。



こうして、新学期初日は無事に終わった。











この時の私は知らなかったんだ。あの時の出会いが、後からあんなにも辛くなるなんて。