「って、ここで食うなよ向こう行けよっ!そこは俺たちが座ろうと思ってたんだよっ」

「えぇ〜、なんだよ冷たいなぁ。ほんっとにお前は我が息子ながら可愛げのないやつ!」

「いいからさっさとみんなのとこ戻れっ」



お父さんは「はいはい、邪魔者は消えますよ〜。青春だねぇ」なんて笑いながら、校舎に向かって歩いて行った。



洋くんのお父さんって、いつもあんな感じで明るくておもしろいんだよなぁ。

小学生のころも洋くんのお父さんが授業参観にきたら、いつも子供たちに囲まれて大人気だったんだよね。



「ったくあのクソ親父…。それよりも腹減ったな、俺たちも食べよう」

「あっ、うん!どうぞどうぞっ……たぶん、美味しいと思うけど」



丸太の平均台を椅子がわりに座ると、隣に腰を落とした洋くんにサンドイッチが入ったお弁当箱をドキドキしながら手渡した。



「おぉ〜っ……すげぇ。たぶん、じゃなくてぜったい美味いだろ」



洋くんは笑顔でたまごサンドをひょいっと掴むと「いただきまーす」とかぶりついた。



ドキドキ…ドキドキ。

美味しいかな……大丈夫かな?



「うんっ、やっぱり美味いじゃん。すげぇな、あかりって料理上手だなぁ」



……ほっ。

喜んでくれてよかったぁ…。