「洋くん、なんだかカッコイイなぁ…」

「え⁉は⁉カッコイイ⁉なっ……なんだよいきなりっ⁉」

「いや、一生懸命に働いてるっていうのが伝わってくるからさ。すごいなぁって思って」



首元や額に光る汗だとか、ところどころが黒ずんだ作業着だとか。

授業はサボってばかりの洋くんだけど、仕事はすごく熱心にやるんだなって思ったら自然と口から「カッコイイ」って出ちゃった。



「そりゃ……まぁ、一応給料貰ってるからな。いくら親父の下でやってるからって、金貰うかぎりは真面目にやんなきゃいけねぇだろ」



私からぷいっと顔を背けた洋くんは、頬がちょっと赤くなってるから照れてるのかな?

ふふ……洋くんはほんっと恥ずかしがりだなぁ。



「おーい、あかりちゃーん」



洋くんとふたりで、どこでお弁当を食べようか?

すぐそばにある、丸太の平均台を椅子がわりにする?って話していると…。



校舎の周りに停められた数台の中型トラックの脇から、洋くんのお父さんが手を振りながら歩いてきた。



洋くんと同じ白いニッカを履いたお父さんは、その明るい茶髪といい、こんがり焼けた肌といい、洋くんによく似た端正な顔立ちといい。

目尻にはちょっとシワが増えてるけど、6年前とあんまり変わってなかった。