「洋くんが私のことを友達としか思ってないのは、私がいちばんよくわかってるから…」
一緒に帰ろうって誘ってくれるのも。
アイス食べに行こうって誘ってくれるのも。
私と洋くんは、小さいころからそうやっていつも一緒にいたから。
そんな関係が未だに続いているだけのことなんだって、それは私がいちばんわかってる。
「だったら諦めなよ?洋を好きになったところで、どうせ傷つくだけだよ」
確かにはるちゃんの言うとおりだね。
洋くんは私のことを女の子として見てくれていないのをわかっていながら、それでも好きになってしまったんだから。
傷つくことになるのもわかってる。
「それでも、洋くんのことを諦めるなんてできないの。傷つくことが怖いと思う以上に、私は洋くんのことが好きだから」
私を睨むはるちゃんの大きな瞳に、じわじわと涙が滲む。
瞳を潤ませる涙は、はるちゃんが瞬きをした瞬間に次々とこぼれ落ちた。
「なんでっ……⁉なんでよりによってアンタが洋を好きになるのよ!」
涙混じりの怒りに満ち溢れた声。
はるちゃんはまだお茶が残るペットボトルを、私に向かって投げつけてきた。
「わっ……!」
ペットボトルは私の腕をかすめ、大きな音を立てながらフェンスにぶつかった。