春が泣いていた。 抱きしめたいと思った。 春への思いが溢れてきて、止めれそうになかった。 だけど、春の言葉で抱きしめるのをやめた。 わかっていたことだが、本人の口から聞くと尚更辛かった。 初めて大事な人が遠くに行ってしまうと思った。 だけど、言わないで前に進まなきゃいけないときもある。 俺は春に「好き」とは伝えなかった。 きっとこれからも伝えないだろう。 成なら春を幸せにしてくれると俺は思った。