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夏美 side

くじ引きで二人一組を作ることになり、あたしと翔太君は一緒になった。神様、ありがとう!
「「……」」
でも、何を話していいのか迷う。
「あ、あのね、あたし、猫飼ってるんだ。スマホに写真あるけど見る?」
「見せて」
スマホに良男の写真が表示された。
「どうかな……」
「可愛いね」
「で、でしょ!」
「……」
あまり盛り上がらなかった。
あたしのゴミ袋はもうすでに半分以上埋まってしまった。黙々と作業に集中していたのだ。
もっと話したい。もっと翔太君のことを知りたい。
「あ、あの! す、好きな人とかいる?」
ストレートに訊きすぎた!
「いるよ」
あっさり返事が返って来た。
「そ、そうなんだ。ちなみに……誰?」
また、ストレート過ぎた!
「それは言えないな。まあ、ヒントは三年生かな」
「えっ! もしかして同じクラス?」
「んー、まあ、そんなところ」
「ふーん」
ポーカーフェイスを装いながらも、内心はすごくドキドキしてる。あたしにもチャンスがある! 神様、ありがとう! 本日、二回目。
「夏美はいるの? 好きな人」
「も、もちろん。ヒントは同じクラス」
「夏美もかよー」
「えへへっ」
思いの外、好きな人の話は盛り上がった。
好きな人の好きな人ってどんな人なんだろう。
その日、あたしは小さな期待を持つことができた。


End