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五月第三土曜日。地域散歩の日。
各学年、各クラスが別々の場所でゴミを拾う。分担作業だ。
俺は春と冬真と一緒だが夏美や千秋とは一緒じゃない。
夏美と千秋も頑張ってくれるといいのだが。
学校から、一年生は東南、二年生は西南、三年生は北を中心に活動することになっている。
「さあ、今年もやって来ましたね。皆さん、はりきっていきましょう!」
地域散歩を担当する瀬川先生が挨拶をした。
挨拶が終わると、ぞろぞろとみんなが一斉に動き出した。
俺は、春と冬真と一緒に歩き出した。
「あれ、冬真、軍手忘れたの?」
「ああ」
「片方、貸してやるよ」
「ああ、悪い」
「女の子なんだから、手、気をつけろよな」
「……」
女の子と呼ばれて恥ずかしいのか、少しうつむく冬真。
そういえば、冬真の姉さんを当て逃げした犯人が捕まったらしいのだが、話題に出すことはなんとなく避けた。
「冬真、弁当持ってきた?」
「ああ、一応」
「ラッキー、ありがとう!」
「何が?」
「俺、弁当忘れたからさ」
「ったく、仕方ないな」
「良かったら、私のも分けてあげる。というか、みんなで分け合いましょ?」
「さんせーい」
「……」
その後、俺達は、世間話やゴールデンウィークでの話など他愛のない話をしながらゴミを集めていった。
なかなか地域散歩も悪くない。