そんなこんなで今は7月。
入学式に咲いていた桜の花は1つも咲いていなくて、青い葉っぱがたくさんつき始めていた。
その頃橘くんと出会って1ヶ月くらいたっていた。
「橘くん…。」
「ああ。確か、華岡(はなおか)さん…だっけ。」
え、まさか聞こえてた!?!?
「まなみ!?心の声漏れてるよ!?」
由衣がこそっと橘くんには聞こえないように教えてくれた。
由衣が橘くんを小さい頃からのあだ名で呼んだことで口喧嘩をしてる間、考え事してたから何がどうなってるのか分からずわたしは混乱していた。
「華岡さん、何??」
「いや、なんでもない…です。」
当たって砕けようとか宣言したはいいけど、わたしはまだまともに1回も橘くんと話せたことはない。
「そっか。ま、これからもゆいのことよろしくね。」
「は、はい!!」
橘くんは表情ひとつ変えず、自分の教室の方へと帰っていった。