10代で恋するのは大事なこと。
それは感情の高ぶりが素直だから。
私、加奈。
椎葉 加奈。
もちろん、好きな人がいる。
すごくすごく、好き。
デパートのショップ店員、永瀬 理雄さん。
今すぐにでも会いたい。
同じクラスに同じくらいイケてる奴がいれば良かったけど、今のとこ誰にも興味なし。
理雄さんにあったのは、年が6才も離れた兄・聖春(たかはる)のお供でデパートに行った時に出会った。
しかも、聖春の友達だったのには驚きすぎてドーナツが食べれなかったくらい。
おいしいランチにドーナツがお供の目的でご褒美だったのに、理雄さんに会って一目ボレしたせいで食べられなかった。
“ 加奈ちゃん ”
そう呼んでくれた時、突き刺さったの。
理雄さんの声が… 笑顔が… 私の心に。
年が離れてる兄の聖春に可愛がられていたせいか、自然と面食いになり、平均よりプラス上を見てしまう。
つまり、自分はさておき欲張り。
これが恋だとすぐにわかった。
幼稚園の頃にはすでに聖春と比べてたせいで初恋があったかは覚えていない。
小学校でさえ、友達が聖春が兄なのを羨ましがったり恋の相手になっていたり自慢なだけで私の恋はなかった。
中学では、こんな私に告白してくれた男子がいたけど 私は名前すら覚えてない失礼な女。
そして高校に入り、聖春に釣られて来たデパートでの出会い。
ただ、まっすぐ理雄さんを思った。
お小遣いはデパートへ行くための交通費になり、学校の休みを利用してバイトも始めた。
理雄さんがいるショップの向かい側にある子供服のお店。
バイトしながら理雄さんが見られ、こんな幸せな事ないと感じていた。
なのに、理雄さんを思い続けて半年、ある事に気づいた。
よく見かける人がいて、しかも、理雄さんがその人に紙袋を渡してる光景を何度も見るようになった。