「カップケーキ以外も食べたいだろうと思ってもう一つ頼んだ。残れば俺食べちゃうから気にせず好きなだけ食べろよ?」

そうニカッと笑っていう寺川くん。

なんて男前かつ、優しいんだろう。

そういう事なら遠慮せず

「ありがとう!いただきます!」


そうして私たちはドーナツ屋さんでカップケーキとドーナツを食べながら色々話した。

約束通り雪だるまカップケーキの別の味を頼んでくれたら寺川くんがそれをひと口くれたので、私のチョコの方もあげたりした。

ドーナツを食べ終わるとカフェオレとコーヒーをおかわりして、そこでそのままお互いに宿題をした。

私が苦手な理数系が寺川くんは得意で、私は逆に文系の国語や英語が割と出来るのでお互い詰まると教えあったりして有意義に過ごす。


なんか、一緒に居ることに違和感なくなってきたのが凄い。

宿題を終えてまたおかわりしてたカフェオレ飲みながら


「結構居たな、こうやってゆっくり食べたり一緒に宿題したりって良いな。」

穏やかに寺川くんが言うので


「なんか、こんなに誰かと長く一緒に居るのも久しぶりだからちょっと変な感じなんだ。でも嫌じゃないの。寺川くんと居ることに少し慣れたみたい。」


私も正直に気持ちを言葉にして返した。


「そっか。なんかそう言われて凄い喜んでる、俺。八雲のテリトリーに入れたんだな。」


確かに許す気のなかった範囲にあっさりと入り込まれてしまった感はある。

でも拒絶反応が無いということは、この人とともに何かをして過ごすことから逃げなくてもいい。
そう感じた。