手紙の内容は、宛名通りカイトへの物だった。

 だが、カイトを傷つけないようにと、思いの伝わる、暖かい手紙だった。

 短い手紙であったが、僕の目からは涙が込み上げてきた。


「なんて書いてあったんだ?」

 僕の姿に、ダニ―が手紙を取り上げて読みだした。


「……」

 僕は、黙って封筒の送り主の名をを見つめた。


「おい! これだけか? お前の事は一言も書いてないぞ…… こりゃ、泣けるわ……」

 ダニ―が、哀れんだように僕を見た。


「そうじゃない…… こんなに、カイトの事を大事に思ってくれた事が嬉しくて…… カイトが傷付けない事だけを考えてくれているんだ…… なのに、僕はこんなに大事な人を失ってしまった……」

 僕は、悔しさと切なさのあまり、体の力が抜け落ちてしまった。



 しばらく黙っていたダニ―が口を開いた。


「お前、本気なんだな…… こんなに、辛そうなお前を見たのは初めてだ。大事にしろよ、リサって子……」


「もう、遅いよ……」


「だったら、なんで封筒をじっと見ているんだ? 遅いかどうかは、自分の目で確かめろよ」


 ダニ―の言葉が、胸に突き刺さってくる……


 僕は、封筒の会社名を頭の中で何度も繰り返した。