リサが居なくなって、五日ほどたった。

 リサの事が頭から離れる事は無いが、仕事と育児でなんと気持ちを保っていた。


「おい、ジョン。なんか、変なエアメールが来ているぞ、見るか?」

 社長室のドアをノックもせずに開けるのはダニ―だ。


 エアメール? 

 思わず立ち上がり手を伸ばすが、ジョンが意地悪く、エアメールをすっと後ろに隠した。


「なんだよ? 僕に、だろう?」

 少し苛立ちながら、ジョンを睨んだ。


「なに焦っているんだよ? カイトに、だ!」

 その言葉に、僕は益々苛立ちダニーの背中へ手を伸ばした。


 ダニーは、面白そうにニヤリとしてエアメールを渡そうとしない。


「いいから、渡せよ!」


「いやだね」


「なんだと!」

 僕は、本気でダニーの胸ぐらを掴んでいた。


 だが、ダニ―はニヤリと嫌らしく笑い返してきた。


「お前が、最近えらく落ち込んでいたのと、このエアメールが関係ありそうだな?」


 ダニ―の言葉に、僕の手は緩んでいき、そのままソファーに座りこんだ。


「ごめん……」

ハっと我にかえると、ダニーに謝る始末となった。



 ダニーは、乱れた襟元を直しながらジロリと睨んできた。


「このエアメールを返して欲しければ、全てを話してもらおうか?」


 ダニーは勝ち誇った顔で、僕を見下ろした。



 僕は、大きくため息をつくと、覚悟を決めた。