すべり込むように、リサのいるコンドミニアムの駐車場に車を停める。

 いつものようにカイトがリサの部屋に向う後ろ姿を、僕も追い掛ける。


「あれ? リサの部屋空いてるよ?」

 カイトの言葉に、脳裏が悲鳴を上げだした。


 慌ててレセプションに向かうが、リサはとっくにチェックアウトしてしまっていた……



「ねえパパ、リサは?」

 カイトの声が、不安と苛立ちを煽っていく。


「……」

 僕は、黙ったまま立ちつくし、頭の中をフル回転させた。


 そうだ、思い切って電話してみようか? 


 スマホを胸のポケットから出すが、リサの連絡先など聞いていなかった事に気付いた。

 もう、連絡すらとれないのか? 


 いったい、今どこに?



 そうだ、空港!



 僕は、カイトを抱きかかえ車の中に放り込んだ。


 急いで車をスクールへ走らせる。



「今日は早いはね?」


 なんて言っている先生に、カイトを投げるように預け、今度は空港へと車を走らせた。