結局、一睡も出来ないまま朝を迎えてしまった。


とにかく、早く、リサの元へ行こう。


 いつもより、早くカイトを起したが、グズグズしているカイトに、つい苛立ってしまう。


「カイト、早く支度しろよ!」



「え~ まだ、テレビが……」


 毎朝見ている子供むけの番組がまだ終わっていないのだ。

しかし、そんな事は僕にとってはどうでもいい。



「今日は、忙しいんだ。早くしろ!」

 思わず口調がきつくなる。


「はーい」

 と言いながら、テレビの前でのんきに踊っている。



「おい! リサが待っているぞ!」

 その声に、カイトが慌てて動きだした。



 そうだ、リサが待っている。

 何故か自分に、何度も言い聞かせる。



 しかし、嫌な胸騒ぎがして落ち着かない。



 リサ、頼むから待っていてくれ! 

 いつの間にか、苦しい祈りへと変わっていた。