「へぇー!不思議だね」

その常連さんの話をすると、親友の由紀乃がはぁっと白い息を出しながら驚いたように言った。

今日は12月最初の月曜日。

もう朝は寒くて、話しているだけで白い息が出ては消えていく。



私たちは高校2年生。10月の修学旅行が終わってから、受験0期だのなんだのって言われ始めた。

由紀乃はもっぱら理系だから、研究がとことんできる大学に進路を決定したらしい。

私は逆にもっぱら文系なのだが、将来何がやりたいとか、どこの大学に行きたいとか、実はまだ決まっていない。


はーぁ。ほんとはバイトしてる場合じゃないんだけど。



うちには父親がいない。
離婚したのだ。
そして父は、すでに再婚している。

でもお母さんは、再婚する気はないらしい。
私を大学に行かせようと、必死に働いてくれているのだ。

だから私も、少しでもお母さんの負担を減らそうとバイトをしている。

お互い遅くまで働いてるもんだから、会うのは朝だけだ。

別に寂しいとは思っていない。慣れたから。