*裕翔said.*


正直、焦った。



知らない女に話しかけられて、うんざりしていた。



早くあいつ戻ってこないかなって。



そしたら、アイツの声が聞こえた。



明らかに、誘いを断っている口調で。



まさかと思って声のした方を向くと、見知らぬ男に腕を掴まれ、涙目になっている真凛の姿。



周りにいた女どもは無視して、あいつの元へ急いだ。



「おい、人の女に何てぇ出してんだよ!?」



自分でも驚く位に低い声が出た。



男が去っていくと、一気に力が抜ける真凛。

咄嗟に支えると、泣き出してしまった。

そりゃそうだろう。



見知らぬ男に話しかけられて、腕を掴まれて、怖くないはずがない。



なるべく安心させてあげたくて、優しく撫でてやった。



もっと早く気づいてあげられてたら、アイツが怖い思いをせずに済んだのに。



早く気づけなかった自分を恨む。

まあ、襲われたりしなくて、まだ良かった。




次、またこんな事があったときは、もっと早く、駆けつけられるように、アイツを見守ろう。



*裕翔said-End.*