目に涙が浮かんだ時。



「あんた、人の女に何てぇ出してんの？」



こ、この声は_！



ハッとした瞬間、手首を握っていた手が外れた。

そのまま、裕翔の腕に引かれ、彼の腕の中にすっぽり収まった。



「今度こいつに手ェ出したら、許さないから。」



今まで聞いたことのないような低い声で、そう言い放つと、男の人は、逃げるように去っていった。



その瞬間、一気に足の力が抜け、尻餅をつきそうになった所を、私の方肩に回していた裕翔の腕が、咄嗟に支えてくれた。



「大丈夫だったか！？」



いつもの声を聞いた瞬間、糸が切れたように涙が溢れ出した。



「こ、怖かったよっ…！！」



裕翔は、私の後頭部に手を回し、優しく撫でてくれる。



「もう、大丈夫だからな…？…ごめんな、すぐに気付いてやれなくて。」



私は、精一杯頭を左右に振った。