教室へ入ると、皆が一目散にこちらへ駆け寄ってくる。



「真凛!聞いたよ!裕翔くんと一緒に登校してたんだって!?しかも…キャー!///」



「おい、裕翔!お前幼馴染だからって、クラス1可愛い子と登校してんじゃねーよ!」



な、何でこんなに盛り上がっているのだろうか。

今、声を出しても、意味が無さそうだ。



ちら、と彼を横目で見る。

やはり同じことを考えているのか、眉間にしわを寄せている。



私は、彼のセーターを、くいくいっ、と引っ張った。



裕翔…背高っ!

私は、167cmで、女子の中では高いほうなのだが、彼は183cmだ。

20cm程差があるわけで。



視線を合わそうとすると、自然と上目遣いになる。



「どうしよう…もうすぐ先生来ちゃうよ?」



そう言ったのだが、どこか、彼の顔が赤くないだろうか。



「ねぇ、裕翔、顔赤いけど…大丈夫?」



こてん、と首を傾げた。

すると、何故か彼の指が私の顔へ迫ってくる。

あっ、と思ったが、もう遅かった。

その瞬間、鋭い痛みが額を走った。



「いったいなー!!なんででこぴんなんか!」
むっとしながら彼に聞く。



「お前、それわざとなの?」



それ…とは、なんの事だろうか。



「それって?」



そう聞いたタイミングで、チャイムがなった。

みんなが急いで自席へ着く中、彼のため息が聞こえた。