六限目が始まる前。





私達は、ゆっくりと教室へ向かっていた。




裕翔を見てはいけない。裕翔を見たら、話したくなるから。





再び零れそうになった涙をぐっと堪えて、教室へと足を踏み入れた。





「真凛!蒼空!二人とも、大丈夫?」




「体調悪かったの?」




慌てて駆け寄ってくれるクラスメイト達には適当に理由をつけて、自分の席に着いた。





今は、誰とも話したくなかった。