裕翔に告白されて、意識していなかったのが、急に意識してしまうようになった。



恋って、したことないし、よく分からない。



でも、裕翔なら、付き合ってもいいかなって思った。



それを、口に出してしまったのだ。



は、恥ずかしい…



靴を履き替えて、教室へ向かう。



「真凛ーっ!おっはよー!!」



元気に駆け寄ってきたのは、蒼空。

そんな彼女に、おはよう、と返して、席についた。



「ねぇねぇ、で、どうだったの!?」



小さい声でそう尋ねてくる。



どうだったって…何が?



こてん、と首を傾げる私に、ニヤニヤと視線を隣に移す蒼空。



となりにいるのは、裕翔。



あっ!昨日の…!!



「裕翔と一緒に遊んだこと?」



そう言うと、なぜか唇を尖らせた。

違うでしょー!、そう言って、コソっと耳打ちする。



「デ・ェ・ト、でしょ!?」



「んなっ!!!!」



デート、という言葉に顔に熱が集まる。

昨日の出来事を思い出す。



それから、私は、昨日の出来事を、一通り蒼空に話した。



知らない男の人に連れてかれそうになったこと。

別れ際に告白されて、遠慮しないと言われたこと。



蒼空は、驚くこともなく、そっか、と言っただけだった。



「え!?待って、何で全然驚かないの!?」



「えー?、だって、やっぱりって感じだし?」



や、やっぱり!?

ってことはっ、裕翔が私のことを好きなの、知ってたって事!?



「あ、でも、真凛が襲われそうになったことは驚いたよ?」



「うん、殺されかけた…」



「あ、いや、襲われるって、そういう意味じゃないから。」




蒼空は半ば呆れたようにそう言った。



「真凛、あんた可愛いんだから、隙見せちゃダメだよ?」