トイレを出た先に、裕翔の姿を見つけた。



「裕翔ーー!!」



思いっ切り手を振って、思いっ切り走って、裕翔に抱きついた。



「おぉっ!元気だな」



裕翔は勢いのある私を支えて、嬉しそうに笑った。

そんな彼に、私も、思いっ切り笑い返した。



「んじゃ、今度こそ行くかっ!」



「うん!!」



中に入り、辺りを見回す。



あ、アイスクリーム…



さっきのアイスは、知らない男の人のせいで落としてしまった。



あっ!そうだ!結局、裕翔にアイス奢れてないじゃんか!!



「ねぇ、裕翔!ちょっとだけ待ってて!」



裕翔の返事も聞かず、走ってアイスクリーム屋さんへ向かった。



さっきと違うお店だけど、さっきと同じソーダ味を買った。


「はいっ!」



どうぞ、と言って、裕翔にアイスを手渡す。



「え?なんで…」



「さっき、裕翔に渡せなかったでしょ?だから!」



「いや、いいよ…1度買ってたみたいだし」



遠慮する事は目に見えていた。



でも、助けてくれた事もあって、お礼がしたかったのだ。


しかし、この調子では、何を言っても聞かなそうである。

ならば_!!!



「せ、せっかく…裕翔の為に、っ…買ってあげたのに…っ!」



泣きそうなふりをして、受け取って貰えるようにしてみる。

案の定、裕翔は慌てて、私をなだめようとする。



「えへへ…嘘だよー!!」


「なっ…!俺本気で焦ったじゃんか!!」


べしっと、私の頭を叩いて、そういった。



「だってー!お礼がしたかったもん!」


ぷくー、と頬を膨らませて、そういった。



「お前…可愛いかよ。」



「ん?何か言った?」


ボソッと小さな声だったから、良く聞き取れなかった。



「…いや、何でもない。」



「えー!気になるじゃん!」



結局、何を言っても教えてくれなかった。