25日 朝────。


教室は、

クリスマスの話で盛り上がってる。


彼氏とどこいった、とか、

親にこれもらった、とか。


私はそれに参加できる気分じゃなくて、

静かに椅子に座った。


沙羅が寄ってきた。


ある程度のことは昨日ラインで言ったから、

沙羅はすごく心配そうだった。


「おはよ」

沙羅は何も言わずただ横にいてくれて。


ちょっとだけ心が楽になった気がした。



もし、今日会えたなら。

笑顔で、「いい冬休みを」なんてことを言おう。


笑えるかな。



「沙羅……今、私笑えてる…?」

震える声でたずねると、

沙羅は少し驚いて、それから微笑んだ。


「うん。大丈夫」


「あり、がと…」

私のか細い声はすぐに、

教室の雑音にかき消された。



✲✲


体育館で終業式。


寒いから早く戻りたいな。


とか思いつつ、

どこかで、

ヨウくんを探している私がいる。


2年生…、

3組…。





「…っ!」


ちょうど、私がそこに目線を向けた時。


ヨウくんと目が合った。



数秒、時間が止まって。


息が詰まって。



何か言いかけようとするヨウくんに対して私は目をそらした。


どうして見るの…?


もしかして、

別れ話でもするの…?



「俺、ハルがやっぱり好きなんだ」とか、
言うの…??


私はうつむいて、

涙をこらえた。



さむい、さむい。

早く終わんないかな。