ふにゃ。


少し、触れた唇。

付き合ってた頃は、ほんとにちょっとしかしなかった。


「んっ…」
終わりかと思いきや、

舌が割って、入ってきて。


「…っく、んっ…」

しびれそうになる。


付き合ってたころ、

こんなキスはしたことなかった。



たす、けて…!


ヨウくん…っ!


ぽろり、涙がこぼれる。


そして、ほおにもパタリと涙が落ちていた。



はっ、として目を開ける。



「だ、いき。」

大樹も、泣いてる。


「ごめん……ごめん」

大樹…。


私はぐいっと唇をぬぐうと、

大樹の部屋を走ってでた。


「琴羽っ!」

呼ぶ声が聞こえたけど、

もう戻ることなんか、できない。


「お邪魔しましたっ」

すぐに、大樹の家をでる。



「は、はぁ…っ。」

大樹…、だめだよ。


まだ舌の感触がのこって。

なんだか、ちっとも気持ちよくなんかなくて。


すごくすごく、

ヨウくんに抱きしめて欲しい気分。


「ヨウくん……ごめんなさ…っ、」



へなへなと、地面に座り込む。


地面は少し冷たくて。


「ごめん、なさい……っ」