ある日の夜。

長男の隆太がうれしそうに話し始めた。

「今日ねぇ、幼稚園でねぇ、白井美由紀ちゃんがねぇ、これくれたの!」

一瞬ドキっとした。

白井美由紀ちゃんって白井さんとこのお嬢さん。

隆太の手のひらには、折り紙で丁寧に折られた鶴がちょこんとのっていた。

「美由紀ちゃんってすごいんだよぅ。こんなに上手に折り紙できるんだ!今度おうちに遊びに来たら折り紙教えてくれるって。行ってきてもいい?」

私の気持ちとは裏腹になんとも無邪気な様子の隆太だ。

「美由紀ちゃんがいいって言っても、美由紀ちゃんのお母さんやお父さんがいいって言ってるかはわからないでしょう?
今度、お母さんから美由紀ちゃんのお母さんに聞いておくからそれまで待ってて。」

「はぁい。」

わかってるのかわかってないんだか、隆太はいつになく素直に返事をした。

私のせっぱ詰まった雰囲気を察したのだろうか?

子どもってそういう勘が働くからね。