△凌side▽























「香音!!」




香音を呼ぶのが早かったか


体が早かったか




気づけば俺は香音を抱きとめていた



そして香音はそのまま意識を失った





「…香音?」






お前…そんなに頑張ってたのかよ


あれだけ休めって言ったのに








具合が悪い時一番効くのは【寝ること】




だそうで




すぐに香音の部屋のベッドに連れていった







「……凌?」




「………起きた?寝ていいよ」




「…うん………ありが…と……う……」







目を覚ました香音はほんとに起きてるのか分からないくらいの小さな声で話した






「……スー…スー…………」











…香音……俺はお前が好き



だけど、こうなったのも全部俺が伝えなかったから




俺も諦めなきゃダメかな




…でも、俺はお前しか見れねーよ










「…香音……好きです。俺と…付き合ってください。」









…なんて。言えたらいいのに。















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_______







「おはよ!」




「あ、おはよ。具合は?」






「もうバッチリ!あ、今度はほんとにバッチリだから!」







良かった。


ほんとは1日で治るのかよとか疑うけど、顔色良かったし、安心した








「今日あたし、音楽科の発表したあと続けてダンス部の発表あるから見に来てね?」




「柚菜にどうせ連れてかれる」




「そうだよね!待ってる!」







…連れてかれる………


ほんとは俺が見に行きたいから行くってだけのこと





こんなことも素直に言えないのか?











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「続いては音楽科による発表です!」





パチパチ






客席も含めて全部真っ暗になったあと









パッ!








スポットライトが当てられた先には



衣装を着て白いおしゃれな椅子に座っていた






どうやら香音のソロが最初みたいだ






「香音ーーーー!!!!!」
「可愛い!!!!!」





たくさんの声がまだ曲も始まっていないのに飛び交っていた



どれだけ人気あるんだよあいつ









____♪__♪___





イントロが鳴って香音が歌い出す






「ねぇ、君はなぜ〜」







歌い出しの『ねぇ』のところでまた





「キャーーーーー!!!」
「上手すぎる!!!」
「香音ーーーー!!!!!」






と、このさま。






そのせいで始めはあんまり聴けなかった







だんだん歓声も収まってサビに







「I LOVE YOU〜
I LOVE YOU〜
I NEED YOU〜ずっと」






…文句なしの上手さ



俺の周りにいる人泣いてるし










柚菜も泣き出したし。




とかって内心バカにしてた俺も





歌詞を受け止めて聴いた時涙が出た




初めて歌を聴いて涙が出た





『叶わない願いなら、サヨナラを告げて』





…そんな歌詞………。