「だけど、竹入が誰かに傷付けられてるのなら見過ごせない。一人で抱え込んでんじゃねえよ、バカ」

近田君はきっと気付いてる。私が莉菜達に貶められていること。傷付けられていること。


彼の言葉はぶっきらぼうなのに、何でそんなに優しいの?



「お前がこれ以上傷付くっていうんなら、無理してでも本当のことを話せ」



胸がじわりじわりと熱くなっていく。




「話すの辛いかもしれないけど、ちゃんと力になるから」




涙が溢れてくる。





「ほっとけないんだよ、お前」




私、いてもいなくてもいい存在じゃないの?

だって、好きな人に〝ほっとけない〟って言われてる。


杏ちゃん達も、皆、私の為に頑張ってくれた。


もう




「私……遊び道具なんだって……」




もう、一人で悩みを抱え込む必要、ないんだね。






「遊び道具……?」

「うん……」


泣きじゃくりながら、私は今までのことを近田君に全部話した。

中学生の頃、莉菜達と一緒に過ごすようになった経緯。その後、莉菜達の都合のいいように使われるようになったこと。金髪を無理強いさせられていること。高校生になっても状況は変わっていないこと。

そして。


昨日カラオケボックスで起こった出来事。
全部話した。



泣きながらだったけど、多分ちゃんと伝えられたと思う。

近田君は時折「うん、うん」って優しく相槌を打ちながら、ずっと聞いてくれていた。


そして、私が全てを話し終えると。


彼の右手がすっ……と私の方へ伸びてきてーー



「痛っ」


軽く、頭をチョップされた。