「何だよ、総介。一人でカッコつけんな?」

と、基紀君が茶化す様に言うけれど。


「そんなんじゃねーよ。皆でホームルームサボったら竹入が気にするだろうが。真面目だからな、こいつ」


素っ気ない言い方。だけど、私のことを心配してくれてるんだよね。


だから、自分だけは私に付き添おうとしてくれているんだよね。


私は彼の厚意に甘えることにして、教室に戻っていく他の皆の背中を見送った。



「場所、変えるか」

「うん」

私達は、渡り廊下から校舎の外に出て、裏庭のベンチに腰掛けた。

予鈴も鳴ったし、当然他の生徒達はこの辺りには誰もいない。

二人きりだ。


「大丈夫か?」

そう尋ねられ、私はこくん、と首を縦に振った。


「近田君、ごめんね。ホームルーム一緒にサボらせちゃって」

「別にいいよ。俺が勝手に決めたことなんだから、ごめんじゃねえだろ」

「……うん。ありがとう」

そう言うと、近田君も頷きながら「うん」と答える。


空を見上げると、雲一つない青空が広がっている。
今日ってこんなに天気良かったんだ。朝は気付かなかった。

だけど私の心はまだ、この綺麗な青空ほどは澄み切ってはいなかった。何でだろう。近田君や皆が私のこと信じてくれて、こんなに嬉しいことはないはずなのに。


「……あのさ」

近田君がゆっくりと口を開く。


「昨日、何があった?」

そう聞かれ、思わず肩がビク、と震える。

ここまで巻き込んでおいて、今更本当のことを隠すつもりなんてない。
ないけど、何て話せばいいのか分からない。


すると。


「……無理には話さなくていい、って前に言ったけどさ」


近田君が、ゆっくりと慎重に言葉を紡いでいく。