何、て言った? 今……。


呆然とする私の顔を面白おかしそうに見つめ、莉菜は自分の髪の先を指先でくるくると弄りながら、何てことのなさそうな声色で言葉を続ける。


「頭イイ子だと思ってたけど、実はおバカだったんだねー? とっくに気付いてるかもと思ってんだけどー」

「な、んでそんなこと……?」

「えー? そりゃあ面白いからよぉー」

莉菜の口角がにや、と上がる。


面白いって、何? どういうこと?



「ああやってさ、あんたがクラスで孤立したところにうちらが優しく声掛けてやれば、必ずうちらと行動する様になるじゃん? そしたらあとは、あんたのこと操作するの簡単だし」

「操作って……何で? 私あの頃、莉菜達の気に障る様なこと何かした?」

「別に? 誰でも良かったの! あんた大人しいからうちらの思い通りに動いてくれそうだし、転校生だったから味方も少ないし、ちょうど良かった!」

莉菜が笑うと、部屋の奥で泉もにやにやした。

酷い。そんな理由で、私は、私は……。


悔しさと、悲しさと、怒りと、切なさと……訳が分からない程に色んな気持ちが込み上がって、混じっていく。

震える足で何とか立ち続け、唇を噛み締めて涙は堪えた。


すると莉菜は。

「で? うちらとはもう会わないっつったっけ? ははっ、今更そんなこと出来ると思う?」

口元は笑っているのに、どこまでも冷たい色をしたその目に身体がぞくっとする。