近田君についていくと、目的の教室にすんなりと辿り着くことが出来た。近田君、もう全校舎を把握しているのかな、凄いな。


教室に入ると、学年別、クラス別に着席する様に黒板に書いてあった。

一年E組の私たちは、窓際の後ろの席に並んで座った。

近田君との会話は、ない。
ここまで連れてきてくれてありがとう、と言いたかったけど、彼が私と友達と思われたくないだろうから言えなかった。


とりあえず、委員会が始まるまで大人しくしていよう。

すると、コロコロという音と共に、私の足元にシャーペンが転がってくる。

それとほぼ同時に、前の席の女の子たちが「あれ? シャーペンがない」「え? さっきまで持ってたでしょ?」と話しているのが聞こえてきた。


前の席にいるということは、同学年のD組の子たちだろう。

私はすぐにそのシャーペンを拾い上げ、席を立つ。

「あの、どうぞ」

拾ったシャーペンをその女の子に手渡す。

するとその女の子は……。


「えっ、あっ、ど、どうもっ‼︎」

私の顔を驚いた顔で見ると、すぐに目を逸らし、シャーペンをペンケースの中に勢いよくしまった。
その子の隣に座る女の子も、同じように私に背を向けた。

私が自分の席に戻ると前の席から
「びっくりした……あんな金髪で派手な人、この高校にいたんだ」
「しかも同学年でしょ? 怖ー。最悪」
というひそひそ声が聞こえてきた。

入学式の日もそうだったけど、ここでもこういう反応されるんだなあ。って、当然か。
誰だって、私の姿を初めて見たら、そう思う。この高校は茶髪にしている人だって殆どいないくらい、真面目な校風だし。