「作り笑い……?」

そう、だったんだ。自分じゃよく分からないけど。

でもそれって。


「ごめんね」

「え?」

「何か、嫌じゃない? 相手が明らかな作り笑いしてるのって」

本心を言ってくれていないんだって分かってしまうのは、相手を切ない気持ちにさせてしまう気がする。

私は今まで何回、近田君に作り笑いをしてしまったんだろう。


「別に、嫌な気持ちにはなってねぇよ」

「本当?」

「本当。……でも心配にはなる」

「え?」

「何かに悩んでんのかなとか、誰にも言えずにいるのかなとか、そういうこと考えて心配になる。


俺、



……お前のこと気になってるから」





……え?






「……あッ⁉︎ だから変な意味じゃなくてだな! 何かに悩んでるんだろうなって何となく気付いてるから、それが気になってるっていう意味な!」

唾が飛んできそうな勢いで、彼は自分の発言にそう捕捉した。


「だ、大丈夫。分かってるよっ」

……本当は、ちょっと勘違いしそうになったけど。
酷いや近田君。悪気がないとは言え、私の気持ちをいっぱいいっぱい揺さぶって。

……違う。私が勝手に揺さぶられてるの。


彼のことが



好きだから。




「あ。近田君、ここで大丈夫だよ」

家の近くのコンビニの前で私は彼にそう告げた。


「家の前まで送っていくけど」

「ここの通り真っ直ぐ行ったらもう家だから大丈夫。ここからはお店が並んでるからずっと明るいし、人通りもあるし」

本当はもっと一緒にいたいけど……家まで送ってもらったら駅がどんどん遠ざかってしまうから。


「分かった。じゃあまた明日な」

「うん、また明日」

「……そう言えば」

駅に向かって歩き出すはずの彼の足は、何故か一歩、私に近付く。

大した距離感じゃないけど、さっきまでよりも少しだけ近い間隔に、胸がきゅっとする。


すると彼は。