カラオケを終えて、帰路につく。


……私はなんと今、近田君と二人きりで歩いている。

杏ちゃんがもう少し歌っていきたいと言うので、彼女には基紀君が付き添うことになった。

だから残りの四人でカラオケボックスを後にしたのだけれど。

高校の最寄りのカラオケボックスに来ていた為、私は当然、徒歩で帰る。

私以外の三人は全員電車通学だ。

だから、途中の道でバイバイしようとしたのだけれど。


暗くて危ないからもう少し先まで送ってく


……と近田君が言ってくれたのだ。


悪いからいいよ、と一度はお断りもしたのだけど、菜々ちゃんと堀君にも、その方がいいよと言われたので、私は彼の厚意に甘えさせてもらうことにした……また二人きりになれるっていう下心も……なかったとは言い切れないけど。



薄暗い通り道を二人並んで歩いていく。

でもさっきから、上手く会話が続かない。一言、二言で、そのまま途切れてしまう。
おかしいな。いつもならもう少し普通に話せるんだけど……。
ふと、彼に対していつも以上に緊張している自分に気付く。
だって、さっきあんなこと言われたから。
『頼んだのは俺だよ』なんて。
そんなこと好きな人に言われたら、誰だってドキドキして、緊張して、言葉が出てこなくなるでしょ?
……でも、近田君もいつもより口数が少ない。
そりゃあ、普段からペラペラ喋るタイプでもないけど、今日はいつも以上に話さない。

……私と一緒?
緊張して言葉が出てこない……とか?
なーんてね。さすがにそれはないよね。それは自惚れ過ぎだって!

……だって私と近田君じゃ、そもそも見た目的に釣り合ってないもんね。
真面目なスポーツマンの彼の恋人が、私みたいな派手だったら明らかにおかしいよ……。