「一応ツーショット以外にも色々撮ったけど。景色とか、お前とか」

「そ、そうだったの……。道理で、杏ちゃんが撮った写真にしては杏ちゃんが写ってばっかりだなと思った……」


うー。よく見ると変な顔してる写真とかもあるのに!
全部近田君が撮ってたって思うと恥ずかしい!


でも近田君は。


「ははっ」

と、小さく噴き出して。


「ど、どうしたの?」

「あ、悪い。
だってさ、そこまで気付いてたのに伊川が撮った写真だと思ってたのかって思ったら面白くて」

「え?」

「基紀も言ってたけど、お前ってやっぱりちょっと天然で面白いよな」


天然だなんて言われるのは不本意だし、基紀君に言われた時は即否定したけど……


近田君が笑ってくれるのなら、どう言われたっていいやって思ってしまうよ。



「で、でもやっぱり、近田君の写真も欲しかったな」

ドキドキしてるのを誤魔化そうと、何となく話を逸らしたつもりだったけど……


近田君に「え?」と真顔で返されて、ハッとする。


わ、私、変なこと言っちゃったよね⁉︎
変なことっていうか、私にとっては本音だけど、近田君にとっては〝何言ってんだこいつ、キモい〟って感じだよね⁉︎
ああーついポロッと本音を言ってしまうなんて迂闊だった! 天然って言われるのは否定したいけど、ドジって言われたら否定出来ない!


えと、えと、と慌てふためいていると、近田君はジャージのポケットから自分の携帯を取り出す。


そして。


「写んないからもうちょいこっち来て」


と言って、右側から私の左肩を掴むと、自分の方に寄せてーー



カシャ。



自分の携帯で、私とのツーショットを自撮りした……。