「入学式の日からさー、気になってたんだよ。〝うわ、金髪のヤベー奴いる〟 って。
てっきり人を寄せ付けない性格の奴かと思ってたけど、超素直だったからマジでウケた」

「えと、ありがとうございます……?」

「うわ、七割悪口だったのにお礼言った! ちょっと天然?
あ、俺は待田(まちだ) 基紀。総介と同中だったんだ。
俺のことは基紀でいーよ。よろしくな、えーと……」

「あ、竹入 春日です」

「はい、よろしくな、金髪ぼっちの春日ちゃん!」

「んなっ」

何だこの人! 金髪ぼっちって……人が気にしてることをー!


でも言い返せない……金髪もぼっちも事実だし……。


それに、こんな失礼な発言を浴びせられていても、クラスメイトと会話が出来ているという現実を少し嬉しく思っている私は、正真正銘のぼっちだ。


「あー、ごめんごめん。春日はあんまり言い返してこれないタイプの女子ね! 悪かった悪かった!」

基紀君はそう言って、顔の前で両手を軽く合わせてみせた。
謝ってくれたから許そう。今しれっと名前を呼び捨てされたことはちょっと気になるけど。


苦手なタイプだけど、悪い人ではなさそう。


一方、堀君の方は私とはさりげなく距離を作って、ひきつった顔で私を見ている。
私みたいな外見の女子は嫌なんだろうな。


すると基紀君が再び口を開く。

「それに、班決めのことなら気にしなくていいと思うぜ? なんせ、このクラスにはぼっちの女子がもう一人いるからな!」

「え?」

それってどういうーーと聞き返すのとほぼ同時に、


「基紀ーーっ!」

と、女の子の声が聞こえ、その声の主がこっちへ走ってきたかと思うと、彼女は基紀くんにガバッと抱き着いた。