「やぁっぱり春日だーっ! 今ちょうどLINEしようとしてたんだよーっ」

声が聞こえてきた土手の上を見上げると、そこには、中学時代からの私の友人、莉菜(りな)と泉(いずみ)がいた。

二人共、私と同じ様に髪を明るい色に染めていて、同じ様に派手に制服を着崩している。


さっき私の名前を呼んだのは莉菜で、彼女たちは土手を下って私たちの所へやって来た。


「わーっ。東城高校の制服も可愛いね! 春日、凄い似合ってる!」

私の制服に視線を向けながら、莉菜が笑顔でそう言ってくれる。


「ありがとう……莉菜達も制服似合ってるよ。可愛い」

「えーっ、ありがとう! って、そちらの方は誰?」

莉菜が私の肩越しに近田君を見ながらそう尋ねてくる。


「もしかして、彼氏っ?」

「ち、違うよっ! そんなんじゃない!」

思わず力一杯否定してしまった。
でも、莉菜達にはそういう誤解されたくない……。


「そうだよね」

莉菜は、私の肩に自分の右手を置く。
そして、その右手にグッと力を込めるのと同時に。


「春日には、うちらだけがいればいーもんね?」


……私の耳元で、冷たい声でそう言った。