「おはよう」と声を掛けると、菜々ちゃんが笑顔で「おはよう、春ちゃん」と返してくれる。
だけど、その笑顔が少しだけ曇ったかと思うと。
「ねえ、夏休み中、近田君と連絡取り合ってた?」
そんなことを突然聞かれ、ドキンと心臓が跳ねた。
「え、ど、どうして?」
「何か、基紀君が近田君と連絡取れないって言ってたから……」
え? と聞き返すのと同時に、後ろから基紀君が「あ、春日!」と声を掛けてくる。
「なあ、総介が一週間前くらいから部活ずっと休んでるんだけど、何か知らねえ? メッセージ送っても返信ないんだよ。今日もまだ登校してきてないみたいだし」
え……部活を欠席? 真面目な総介君が?
それに、基紀君にも返信してないってことは、彼に何かあったんじゃ……?
不安を感じながら、実は私も夏休み後半はほとんど連絡が取れていなかったことを話すと、基紀君も深刻そうな顔をする。
「二人とも、大丈夫よ。単に携帯の調子が悪かっただけかもしれないじゃない。新学期に会おうって言われてんでしょ? じゃああと五分もすれば登校してくるわよ」
菜々ちゃんにそう言われ、確かにそうかもしれない、と少しだけ気を取り直すけれど……結局、五分経っても彼は教室には現れず、姿のないまま朝のホームルーム開始のチャイムと同時に担任が先に来てしまった。
私の心が再びざわつく。
教壇に立った担任は、いつもよりどこか神妙な顔つきで話し始める。
「皆、おはよう。夏休みは楽しめたか? ……実は、新学期早々だが、皆に報告しないといけないことがある」
この時点で、既に漠然と嫌な予感に包まれる。
いつも、嫌な予感ばかりが私を裏切らない。
担任がゆっくりと口を開く。
「実は、近田君が転校することになった」
……頭の中が、視界が、真っ白になる。
だけど、その笑顔が少しだけ曇ったかと思うと。
「ねえ、夏休み中、近田君と連絡取り合ってた?」
そんなことを突然聞かれ、ドキンと心臓が跳ねた。
「え、ど、どうして?」
「何か、基紀君が近田君と連絡取れないって言ってたから……」
え? と聞き返すのと同時に、後ろから基紀君が「あ、春日!」と声を掛けてくる。
「なあ、総介が一週間前くらいから部活ずっと休んでるんだけど、何か知らねえ? メッセージ送っても返信ないんだよ。今日もまだ登校してきてないみたいだし」
え……部活を欠席? 真面目な総介君が?
それに、基紀君にも返信してないってことは、彼に何かあったんじゃ……?
不安を感じながら、実は私も夏休み後半はほとんど連絡が取れていなかったことを話すと、基紀君も深刻そうな顔をする。
「二人とも、大丈夫よ。単に携帯の調子が悪かっただけかもしれないじゃない。新学期に会おうって言われてんでしょ? じゃああと五分もすれば登校してくるわよ」
菜々ちゃんにそう言われ、確かにそうかもしれない、と少しだけ気を取り直すけれど……結局、五分経っても彼は教室には現れず、姿のないまま朝のホームルーム開始のチャイムと同時に担任が先に来てしまった。
私の心が再びざわつく。
教壇に立った担任は、いつもよりどこか神妙な顔つきで話し始める。
「皆、おはよう。夏休みは楽しめたか? ……実は、新学期早々だが、皆に報告しないといけないことがある」
この時点で、既に漠然と嫌な予感に包まれる。
いつも、嫌な予感ばかりが私を裏切らない。
担任がゆっくりと口を開く。
「実は、近田君が転校することになった」
……頭の中が、視界が、真っ白になる。