「金髪とか、短いスカートとか、アクセサリーとか、爪とか。何か、お前に似合ってねぇし」

「えっ、それはその、ダサいとかそういう……⁉︎」

「えっ? あ、いや、そういう訳じゃなくて……!」

少しだけ焦った様子で「ダサいとか変とか、そういう意味じゃなくて……」と否定する彼は、言葉を続ける。


「竹入らしくないっていうか」

「え……?」

近田君は、じっ、と私を見つめる。
入学式の日は絶対に合わせてくれなかったその目を、今は正面から真っ直ぐに向けてくれている。

「まあ、知り合って数日しか経ってねぇし、まともに会話したのも今日が初めてで、お前のこと全然知らないけど。

でも、はっきりと礼を言ったり、人のシャーペン拾ってやったり、丁寧にノート取ったり……。

何ていうか、そういう派手な格好する様な奴に見えないんだよ。

真面目で大人しい……俺にはお前はそういう性格に見えるんだけど、違うか?」


……あぁ。どうしよう。

まさか、知り合って数日の人に、こんなこと言われるなんて思ってもいなかった。

だっていつも、外見で判断されていた。

かかわらない様に、目も合わされないことが多かった。


それなのに、近田君は。
色々、見てくれてたんだ。

その上で、もしかして心配、してくれてる?
何か、事情があるんじゃないか、って?


……どうしよう。

言ってしまいたくなる。

近田君なら、分かってくれる気がする。そしてひょっとしたら……味方になってくれるんじゃないかって思う……。


「あ、あのね、近田君。私、実は……っ」

私が口を開いた、その時だった。


「あっ、春日ーっ!」

その声に、私は思わず身体をビク、と大きく揺らした。